子どもの怪我

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「お父さんお母さん」 「「はい!」」 突如かけられたカルネからの声に、テトリの両親はビクっと怯えたように肩を震わせた。 「あー……いや、ちょっと言いすぎましたね。申し訳ありませんでした」 有名な武闘家夫婦である屈強な冒険者に怯えられ、流石にやり過ぎた、と後悔したカルネは頭を深々と下げた。 「い、いえ、先生の言う通りですし」 カルネの謝罪に、テトリの母親が慌てて手を振り制した。 けれど父親は重々しい表情でカルネを見つめた。 「……先生、一つよろしいですか?」 「ええ、どうぞ」 文句でも罵倒でも何でも来い、とカルネは覚悟を決めて頷いた。 父親は、大きく息を吸うと、きっと睨むようにカルネを見た。 「危険度が自分たちではわからないときはどうすればいいですか」 そう言うと、父親は歯を食いしばりそっぽを向き。 「この先、私だけでなく、恐らく妻も子供にとってどれが危険かわからない。さっきだって、あれだけ高い所から飛び降りて危険、ではなく誰にも出来ないことをやったことがすごいと褒めることで頭がいっぱいになっていました。こんな私にわかるわけがない。わかるわけがないんですよ!」 そう、吐き捨てるようにいった。
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