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「無事、トラブル解決だねぇ」
先程の異様な雰囲気はまるでなかったかのような明るさで談笑した後、テトリ親子がその場から去ってからずっと黙って見守っていたアヌレイが口を開いた。
動けないのは嫌だというテトリの意向をくみ完全治癒を施し歩けるようにしたため、アヌレイの横には空っぽの医療室のベッドがふわふわと浮いていた。
「でもさ、カルネ」
アヌレイはにた~と悪戯な笑みを浮かべカルネを見た。
「言葉遣いに関して、私に言える立場かい?」
その言葉に。
カルネは「うっ」と目を逸らした。
問題行動を起こす職員のトップは勿論アヌレイだが。
実は2番目に多いのはカルネだったりする。
「言葉が荒い、ね~。虐待、ね~」
カルネの周りをウロウロしながらにやついた笑みでカルネを舐め回すように見る。
「人のことが言えるのかねぇ?」
「そういう揚げ足をとってくるお前が私はすごく嫌いだ」
楽しそうなアヌレイにカルネがそう噛みついた時。
『カルネ先生。アヌレイ先生。園長室までいらっしゃい。理由は勿論おわかりですよね』
園長先生の言葉が二人の頭上から降ってきた。
「あー……」
カルネは、やっぱりか、と頭を抱え。
アヌレイは顔中に冷や汗を垂らしながら
「一緒にばっくれない?」
と爽やかに笑った、その時。
『アヌレイ先生、お仕置き増やしますよ』
「今すぐ行きまーす!!!」
アヌレイは猛ダッシュした。
その背中を小走りで追いかけながら、カルネはこれからの園長から食らう説教を思い盛大なため息を零した。
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