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「そう、そうだったのね……。じゃあ私、間違ってたのね……ごめんなさい。その、怒鳴りつけてしまって」
最初の勢いはどこへやら、しゅんと視線を落とし小さくなる女性にカルネは微笑みかける。
「いえ、こちらこそご心配おかけしてしまい申し訳ございません。お母さん方が安心して<アンファン>にお子様たちを預けられるよう私たちも尽力いたしますので、どうかご理解のほどよろしくお願いいたします」
カルネはそう言って再び頭を下げた。
けれどもまたすぐに上げると
「ちなみに、回復薬もNGですからね」
と懐をごそごそし始めた女性に輝く笑顔を向けた。
「うえ!?」
カルネの言葉に驚いた女性は探っていた手をポケットから取り出した。
瞬間、コロコロと落ちる、冒険者の常備薬である回復薬。
カルネは落ちた回復薬を拾うと女性に差し出し
「ああ、すみません。聡明なお母さんですから、魔法が駄目ならどんなに弱い回復薬でもダメだとご理解していますよね。失礼しました。はい、落としものです」
ニコニコとした表情を崩さず回復薬を差し出してくるカルネに、ちょっとした恐怖を覚えた女性は「はい……ありがとうございます」と怯えながら受け取り、子どもを抱きかかえてそそくさとその場を去った。
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