アンファンの力

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円形の魔法陣が現れ、外側から内側に向けてびっしりと文字で埋め尽くされる。 文字だらけの魔法陣、という言葉がぴったりなものだった。 ツボネがその中心に掌を添えると不規則に曲がった針が現れる。 その針は時計回りにぐるぐると高速回転を始めた。 「標的、翡翠の宝石」 ツボネが告げると、無数の文字が羅針盤の上を不規則な並びで翡翠色に光る。 「ウフフ……ズルはなしにしましょう。正々堂々……やりましょうね。さぁ、光れ」 ツボネがそう告げた瞬間。 闘技場のあちこちから翡翠の光の柱が天へと上った。 そのほとんどは、今まさにマヴァイス国の子ども達が掘っている場所から伸びていた。 突然の光に子どもたちはぽかんと手を止め、腕を組んでにやにや見守っていたデルダもあんぐりと口を開け呆然としていた。 ツボネは羅針盤を発動させたままにたぁとした笑みを浮かべ「さぁ、これで平等」と言い、ツボネが魔法を発動したときに集合し、待機してツボネの指示を賢く待っていた子どもたちに振り向く。 「さぁ、光りの場所を思う存分掘りなさい!」 その言葉を待ってました! とばかりに子どもたちは元気よく「はーい!」と返事をして駆けだした。 茶髪ツインテールの女の子は光っている場所の上に立つと、両手に水の玉を出した。 そしてそれを地面にたたきつける。 2個……4個……10個。 たくさん出した水の玉が地面に全て吸い込まれるのを見届けると、両手を天に上げバンザイをした。 「おいでー!」 瞬間。 女の子の足元から地鳴りがしたかと思うと。 大きな水柱が女の子を突き上げる。 その水柱の近くにいた2人のマヴァイス国の子どもも巻き込まれた。 「うわあああ」 「ぎゃああああ」 水柱は暫く天高く噴き出した後、ゆっくりと地面へと背を低めていった。 巻き込まれた2人は全身びしょ濡れ状態のままそのまま気絶し、女の子は可憐に着地すると3つの翡翠の宝石を掲げた。 「わーい、いっぱーい!」 その様子を見てデルダは青ざめる。 人数で(まさ)ってるから、と先に一斉に掘り始めれば必ず勝てると思っていた。 だが、化け物教師の教え子はやはり化け物だった。
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