アンファン

新人の仕事

イルド国。
勇者姫の名前から取り、名付けられた国はこの100年間豊かさを誇っていた。
冒険者が最も多く住む国として名高く、ギルドの依頼も豊富に提示している。
だが、この国はそれだけではない。
他の国とは別で特化したものがある。

富、名声、戦力。
これに加え、保育。

特にここ10年は＜アンファン＞という施設が出来たおかげで、保育に関しては一番特化した国だと言われている。
そして最近では、どの国でも名を知らぬ者はいないと言われるフォーティスとレクイム夫婦の問題を解決したということで有名であった。
逆らうととんでもないしっぺ返しにあう化け物の巣窟だの、国自身が背後にある為施設に手を出したら死刑、など物騒な噂も飛び交うが、＜アンファン＞に預ければ暴走可能性のある子どもは誰でも無事に成長できるという評判が立ち、他国からも引っ越してくる冒険者が出るほどとなっている。
そのため来年度はさらに施設を大きくするため職員を増やすべき、という討論が常に出ているのだが、給料の良さに働きたがる人は居れども＜アンファン＞は技術と信念、そして園長リアリドの厳しい査定の目、見極(ベリファイ)を通ることが必要とされているため、人数を増やすのは容易ではない。
かといって子どもだけが増えれば施設どころか今勤めている職員が倒れてしまう事態になる。
そうなれば＜アンファン＞は運営どころではない。
そう判断した王は、施設増大や職員の導入、子どもの受け入れ増加を一旦保留としている。
何とも理解ある王だ。