子にとって親は神か、魔王か

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*** お遊戯会場はアンファンの玄関を出て、外をぐるっと回らなければ入れない。 なので、外から入る人はどこへ進めばいいかわからなくなることが多い。 だから、玄関手前にある門を飾り付け、そこから遊戯会場まで何らかの目印を創ることにしている。 カルネが出勤した時には、門の飾りつけさえされていなくて普段通りの門だった。 だから。 玄関を出たカルネは息を飲んだ。 門は、まるで教会の姿を模った形となっていて、教会そのものが門になっているような錯覚を起こさせる仕上がりとなっていたのだ。近づくと紙でできていたので、恐らくミナミレの能力だろうことは察せられた。門の形はそのままに、表裏どちらから見ても、教会だとわかるよう紙で作られた白い城ともいえそうな教会。とんがった屋根の先には青い鳥が乗っていて、それも作り物のぬいぐるみだと気づくのには時間を要する程、精巧なものだった。 「予定では……動物園のような門の筈だったのに……」 門に見惚れながらカルネが呟くと、「ミナミレ先生一人で考えられた案です。というより、あんまりそれぞれ共有しすぎるとカルネ先生の目を欺くのは難しいのでそうしてもらいました。優秀な目を持つ人の目を騙すのは本当に骨が折れるわ」と、疑問に答えるようにクスクスとした笑いを含みながらリアリドが言った。 「じゃあこの道は……」 「イデ先生の案で、お手伝いにデレク先生とキャッシュ先生よ」 イデの案、というのはなんとなく見た目で納得した。 カルネが絨毯だと思ったのは裸足でも歩けそうなふわふわとした桃色の芝生。イデの能力であれば草の色を変えるということも容易なのだろう。その道を縁どるように置かれていたのは、美しい緑の竹の中に入った、手を近づけても熱くない虹色の炎を灯す蝋燭。竹の灯籠だ。顔を近づければ花の香だったり、フルーツの香だったりと、色んな匂いが混ざっているのに決して不快ではない、心を幸せに満たす香りに包まれてカルネの緊張していた表情が綻んだ。一定間隔で置かれた蝋燭は、カルネが歩を進めるたびにふわりと優しい香りで鼻をくすぐり、胸いっぱいに幸せを満たしてくれた。
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