その後

1/5
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ

その後

寂しくて、爪を噛みだしてから、長い月日が経った。 リリーは10歳。 母は、あまり家にいる事が少なかった。 母にもっと寄り添って欲しかった。母に愛されたかった。 そんなリリーの気持ちも分からずに……。 どうやら、他の男の人の元へと行っているらしく、ますます、サミーはリリーに冷たくあたり、そして、厳しいのだった。 サミーの歳は40代といったところかーーー。 ある日の事ーーー。 リリーは、お腹が空いたので、サミーに何か食べるものがないのかと聞いた。 サミーは、自分が食べているパンの切れ端をちぎって手に持ち、リリーに無言で差し出した。 「あ、ありがとう……。す、すいません……。」 と、言ってそのパンを手に取ろうとした。 が、その瞬間!! 手を掴まれて引きずられた! 「わっ!なっ!何?何で!何をっ!」 サミーは、無言でリリーの手を引っ張って、不敵な笑みを浮かべて、フッと笑ったかと思うと。 「お前も母親に似て、男が好きなのかっ!そうなんだなっ!」 初めて聞くサミーの声はしゃがれ声で太い声だった。 「なっ!何がっ!悪い事をしたのっ?!」 わけがわからないまま、押し倒された! リリーが何をしたというのだろうか……! サミーは、母、加奈の浮気にうんざりしていたのだ。 その子供のリリーさえも腹ただしいと思ったのだ。     
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!