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その後
寂しくて、爪を噛みだしてから、長い月日が経った。
リリーは10歳。
母は、あまり家にいる事が少なかった。
母にもっと寄り添って欲しかった。母に愛されたかった。
そんなリリーの気持ちも分からずに……。
どうやら、他の男の人の元へと行っているらしく、ますます、サミーはリリーに冷たくあたり、そして、厳しいのだった。
サミーの歳は40代といったところかーーー。
ある日の事ーーー。
リリーは、お腹が空いたので、サミーに何か食べるものがないのかと聞いた。
サミーは、自分が食べているパンの切れ端をちぎって手に持ち、リリーに無言で差し出した。
「あ、ありがとう……。す、すいません……。」
と、言ってそのパンを手に取ろうとした。
が、その瞬間!!
手を掴まれて引きずられた!
「わっ!なっ!何?何で!何をっ!」
サミーは、無言でリリーの手を引っ張って、不敵な笑みを浮かべて、フッと笑ったかと思うと。
「お前も母親に似て、男が好きなのかっ!そうなんだなっ!」
初めて聞くサミーの声はしゃがれ声で太い声だった。
「なっ!何がっ!悪い事をしたのっ?!」
わけがわからないまま、押し倒された!
リリーが何をしたというのだろうか……!
サミーは、母、加奈の浮気にうんざりしていたのだ。
その子供のリリーさえも腹ただしいと思ったのだ。
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