第1章

4/16
前へ
/34ページ
次へ
 4月23日  高校は家から近く、歩きで通学している。俺と潤一はいつも家の前にある公園で待ち合わせをしてから行くことにしている。  潤一よりも少し先に公園に着きベンチに座って待っていた。夜通しゲームをしていたためとても眠たい。 「おはよ?、お待たせ、じゃあ行こうか・・・」  潤一が数分後に来て眠そうに言った。 「おぉ、おはよ、行こっか」  俺は立ち上がり、潤一と共に学校に向かって歩き始めた。 「そう言えば、最近彩加の家に遊びに行ってないな」 「確かにそうかも・・・」  中学時代、潤一はあまり多くのゲーム機を持っていなかった為、よく家にゲームをしにきていた。潤一がゲーム好きになったのは自分の影響だと俺は思っている。俺の両親もゲーム好きで家にはたくさんのゲームがある。  潤一は中学三年の夏に推薦で高校への入学が決まり、親にゲーム機を買ってもらったそうだ。俺は一般入試で入った為、3月まで受験生をしていた。   「また、遊びに行ってもいいか?」 「あぁ、いつでもいいぞ」 「おう、ありがとう!昔はよく一つのゲーム機で皆んなで遊んでたよな?」  この皆んなというのは中学時代の友達である。俺達の高校にも中学の頃からの同級生はいるが、仲の良かった友達は潤一以外違う高校へ行ってしまった。あの頃の思い出はとても懐かしい。 「今は潤一もゲーム機持ってるし、オンラインで通信ができる以上同じ空間でゲームをする必要がなくなったからな・・・」 「確かにそうなんだよなぁ・・・便利になったとは言え、少し寂しいよな」 「まぁ気持ちはわからなくもない・・・」  オンラインで通信プレイがいつでも簡単にできるのは本当に便利になったと思う。通話で意思疎通をしながら協力プレイをするのは本当に楽しいし、今のオンライン環境には全くと行っていいほどに不満もない。  ただ、昔のことを思うと寂しさが拭えないことも事実だ。昔のように何人かで集まって同じ画面でゲームがしたいなと思う時がある。 「彩加の家に行ったら、昔みたいにゲームがしたいな!あの時やってたゲームってまだ残ってるか?」 「あぁ、勿論あるぞ!」 「よっしゃ!じゃあ、いつにしようか?」 「そうだな・・」  二人は、いつも通りゲームなど他愛もない話をしながら、学校へ向かった。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加