第1章

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 この学校は他の学校よりも美化に力を入れているらしく、1年間に5、6回、丸一日使った校内美化活動という大掃除の学園行事が存在する。校内美化活動は美化委員が指揮をとる。そして、美化委員の人は教室以外の場所も掃除しなければならないので、当日はかなり忙しくなる。そのため一番不人気なのである。       また、4月26日に今年度最初の校内美化活動が行われるので、この時期の美化委員会は集会が多い。  俺は後期の図書委員会に所属しているため、9月までは委員会活動はない。また、この学校の図書委員会がどのような活動をしているのか、まだわからない。 「わかった。待ってるから早く終わらせてこいよ!」  少しいたずらな笑みを浮かべて言った。というのも、入学して間もない一年生一人の力では委員会を早く終わらせるなどとても難しいからだ。  本当は昨日買ったゲームの続きを早く帰ってしたかったのだが、仕方がない。潤一も頑張っているので、俺も待つことにした。 「お、おう、任せとけ!」  潤一は親指を立てて自信なさげな苦笑いをしながら言い、その後教室を出た。 ・・・暇だし小説でも書き進めるか・・・  今は15時45分。最終下校時間まで掛かるとなると2時間と45分もあるが、小説を書き進めていると時間はあっという間に過ぎていく。なので、待ち時間も全く退屈を感じない。  自分の席に座るとスマホに小説を書き始めた。  クラスの席順は入学時のままで席替えがあるのかはまだわからないが、今は名簿順である。彩加は名簿2番なので、窓際の前から2番目である。また、潤一は1番なので、彩加の前に座っている。  
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