14.推し語りタイム(Side安原)

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 一年二人を引き連れて、神が戻ってきた。  肩揺らして笑ってるコウガミを見て驚いたような顔になりつつ、小休止を宣言した加賀谷さんの眉間の縦皺消えてたんで、やったぁ~~な気分。  一年二人もホッとした顔して、水飲んだりストレッチしたりコウガミの調子聞いたりして、俺にも声かけてきた。 「いきなり二人で放置って不安だったろ」  つったのは背の低い方。  もう一人がコウガミの肩を叩きながら 「こいつプチ加賀谷とか言われてるのに、笑ってるからビックリした」  なんて言うから、ビックリした。  え、コウガミそんな神々しくないのになんで? とか素で不思議で。したら加賀谷さんが水のボトルの蓋閉じながら 「なんだそれは」  とか眉寄せて言ったから、超かわいい~~~ッとかトキメいて言葉失って感動してたら、コウガミもニヤニヤしながら言った。 「まあ……ありがとな」 「うん、ああ」  けど適当に返した。だってアタマん中超忙しいんだって! (陸上部って、ほとんど全員寮生なんだよなぁ。そっか~、シモベとして活動するなら、やっぱ寮に入るべきだよな? 呼ばれたらすぐ行きます! て感じ? いやいや呼ばれなくても常におそばにっ! て感じでやってかねーとなんじゃ? だよねだよねシモベってそうじゃねーと!)  なんて考えてニヘラ笑っちまう。  一年二人もヘヘッとか笑って、加賀谷さんもムスッとしてるけど雰囲気柔い感じになってて、なんだか雰囲気が和やかつか。  しばらくそうしてて、コウガミが痛み引いたみてーだって言って、んじゃ帰るか~ってなったんだけど。  加賀谷さんが言ったわけ。 「まだ無理しない方がいいだろう」  そんで、なぜか、つうか、やっぱ、つうか……チャリの後ろにはコウガミが乗ってる。  てか後ろに男一人乗っけてると、さすがに片手運転できねー! すぐそこに神いるのに、しかもゆっくりペースで二人とかコッチとかにちょいちょい目線くれてる感じとか超レアなのに撮れねえ!  めちゃジレンマ包まれつつ、しょうがなく脳内の神フォルダに映像残しとこうと、必死に背中を見つめてた。 「悪いな。どうせなら女の子乗っけたいよな」  なんてコウガミは言ってるけども! (ちっげーよ男とか女とかじゃねーんだよ! むしろ後ろに乗ってんの加賀谷さんだったら至福なんだよっ!)  とか、言うと気が散って神映像記憶しそこなうかもなんで「なんもー」とか「おっけー」とか上の空で返す、んだけどもコウガミはちょいちょい 「おまえ面白えな」  とかなんとか言ってるし、コイツとは仲良くするって決めたんだった、とかハッとしたり、マジでアタマん中、かなり忙しかった。  学校に戻ったら、いつもの終了時間よりかなり遅くなってたけど、陸上部はみんな待ってたみたい。加賀谷さんが報告したら 「そういう時は無茶するな!」  とかめっちゃ怒られて、コウガミは医務室へ直行。 「世話かけたな」 「おまえがチャリで行ってて助かったよ」 「ありがとな」  なんて、先輩とか声かけてくれたりして、コーチも「今日は助かった」なんつってくれて肩ポンポンしてくれたりして。 (そっか! こういう関係作ればコウガミに頼らなくてもレア情報ゲットできんじゃね? イイじゃんイイじゃん結果オーライじゃ~~~ん)  とかテンション上がってく。 (こんなノリで行ったら、加賀谷さんのシモベポジション徐々にゲットできんじゃね? そうすると~、やっぱ寮に入るべきかぁ)
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