『しんぴん』

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四つ角を曲がったり、信号で止まったり発進をする度に『あっちでゴツン!』『こっちでゴツン!』と身体中がお棺の内側にブツかりまして‥‥ 「イテテ!イテテ! 痛いって! アッシは病人なんだっ! 死人じゃねぇんだから、痛覚があるんだよっ! もっとゆっくり‥‥!」 そんなこんなで大急ぎで病院に到着を致しますってぇと、急いで救急外来の入り口に横付けをいたしまして‥‥ 「センセー! センセーは居らっしゃいますか?! 葬儀屋ですけど、急病人が出まして!」 「おやおや、これは葬儀屋さん。ダメですよ、こんなところに寝台車を止めちゃあ! 此処は救急外来の‥‥え?『今日のは生きてます』って? 何ですか?そりゃ。ふんふん、どれどれ‥‥ああ、確かに生きてるよ。 おいおい、皆んな来てご覧なさいよ。こりゃ珍しいモンだね、棺桶にお花を満タンに詰め込んだ『患者』ってなぁ私も初めて見るよ。 え、何?『感心してないで釘抜きを貸してくれ』って?『棺桶に釘を打ち付けた時に力を入れすぎて、フタが開きません』って? 意味がわからないよ、まったく」 「さてさて、全員で手を貸しておくれ! この‥‥『まだ死んでない人』を外に出すから!‥‥おいしっょと! で、‥‥アンタは何処が悪いんだね?」 やっとの思いでお棺から引っ張りだされた番頭さん、もうすっかり泣き顔で‥‥     
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