第2章 第一試合

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 ボールの滞空時間が長く感じられた。きれいな放物線を描いて、けれどシュートは枠に当たって、右側に跳ねた。遥は悲鳴のようなため息のような声が応援席に湧き起こるのを意識のどこかで感じていた。佳奈の手が伸びあがって、リバウンドを奪った。再び跳ねあがって放たれたシュートは、バックボードに跳ね返って、今度は見事に枠を捉えた。  ゲーム終了の笛が鳴った。負けた。たった一点の差が、最後に二チームの明暗を分けた。佳奈が堰を切ったように泣き始めた。さくらが、ごめん、と遥に謝った。いちごが顔中を涙にして泣いている。ゆっちんは何も言わずに、遥の肩を優しく叩き、さくらの腰の辺りをゆっくりと押した。 センターラインに並んで、選手同士挨拶をした。高畠中の選手とXの字に交差をして、遥たちは相手チームのベンチに挨拶に行く。頭を下げて振り向くと、コートにはすでに次の試合の男子選手が入り乱れている。その中を、審判に向けて、礼をした。
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