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思考が、心の一部の、何か固く隔離されたような部分に届いて、その栓をほどきそうになる。それを押しとどめようとでもいうように遥の肩に柔らかな手のひらが置かれるのを感じて、遥は我に返った。ゆっちんが、横から心配そうに遥の眼の奥を覗き込んでいた。その眼の色は、遥の心の波を、潮を引かせるようにすっと静まらせていく。
「大丈夫?」
遥はゆっちんの穏やかな性格を限りなく羨ましいと思う。自分もゆっちんのようになりたいと願うが、そうなれば、自分はもはや自分ではなくなってしまうことも分かっている。
「うん。ゆっちんは?」
返すと、ゆっちんはふふ、と笑った。
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