門の天井にそれはいた

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「…これ、廃寺になった山寺の門の中にあったらしいっすよ。  ショベルカーで崩した時に見つかったそうで、  奥には小動物の死に場所なのか骨がわんさか  積み上がってたらしいっす。」 そう言いつつも、回収業者のサブはトラックの荷台に積んだ 加津五郎を見てから集積所へと向かう地図に目を移す。 「…でもね、俺知ってるんですけど、  あの寺って地元じゃ有名なお化け寺なんすよ。  なんでも、昔坊主が死体の体を綺麗にしている時に  人の肉の味を知っちまって夜な夜な死体を漁っていたらしいんす。  で、余りものは自分の持っている畑に刺さっていた…」   「サブ、ついたぞ。」 そうして、運転していた主任が車を止めたところでサブは気づく。 「…ああ、集積所じゃないんっすね。」 「うん、最近はガソリン代が高くなっちまったからな。  近場で済ませることにしているんだ。」 そう言うと、サブと主任は荷台に積んでいた 廃棄物を山の麓にある窪地に捨てていく。 「主任も悪い人ですね。  こんなにガラクタを投棄して。」 「黙ってやれ。あとの予約があるんだ。」 そうして、サブは最後に加津五郎を担ぎ上げると そのまま窪地に投げ入れる。 「…でもねえ、なんであんなところに  案山子がしまってあったんだろ…。」 手を叩きつつ、サブは加津五郎に首をかしげると 主任とともに現場を後にする。
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