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後ろに置かれていたのは、何度見しても明らかに"布団"
なのだから。
(忘れ物...ってことはないよね? でも誰かの荷物なのは確かだし...人の物に勝手に触るのは非常識かな.....?)
後ろの布団を見つめ、硬直状態で葛藤する。
しかし目の前の異様な光景に対する好奇心には勝てず、そっと近付くことにした。
(ただの布団だし...危険物じゃないし...!!)
自分に言い聞かせても怖いものは怖い。
鉛のように重い足を引きずって一歩一歩前に進んでいく。
「ん.....」
「...ひっ...!? 」
布団の中で何かがもぞりと動いた。
あまりの恐怖に大声を上げることもできず、額から冷汗が伝う感覚をやけに鮮明に感じる。
(何か...いる.....)
やめた方がいいのはわかっている。
しかし、私の足は自然とその怪しい布団へ向かっていた。
(っ...)
ついに手を伸ばせばすぐ届くような位置に来てしまった。中に人がいるのが明確にわかるからこその恐怖と緊張が全身に走る。
まず、何をするためにこの物体に近付いたのかさえもはっきりしていないのだ。
とりあえず顔でも見てやろうか、起こしてしまったら何て言おうか。いや、それは今考えるべきじゃないな。と、また葛藤していたが、今回はすぐに答えが出た。
(とりあえず... 顔が見たい...!!)
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