課題1:仲良くしてください

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課題1:仲良くしてください

4月上旬、春。 とある県のとある専門学校に私は入学した。 入学式は前日に終え、今日が初登校日。 期待と不安で落ち着かなくて少し寝不足気味なまま校門をくぐり、風除室に入ると待っていた事務の先生に名前を聞かれる。 「櫻井 茜です。」 「櫻井さんは.....4階、402の教室ですね。」 「ありがとうございます!」 第一印象は大切。にっこりと笑って挨拶した。 ... (ここかな?) エレベーターに乗って4のボタンを押すと、今までになかったような緊張が押し寄せた。 私立という事もあり、設備が整いすぎているのはもちろん。でもそれ以上に"ここの生徒になる"という事への実感が緊張に繋がったのだと思う。 無機質な声が「4階です」と告げる。 心拍数がより一層上がり、ドアが開くと共にごくりと固唾を飲んで1歩踏み出す。 (よし...) 「お、おはようございます!」 その言葉と共に教室の扉を引く。 しかし、時間前に行動し過ぎたのか他の生徒はおらず、私が1番乗りだった。人の視線を浴びるのが苦手な私にとっては好都合でしかなく、心の中で密かにガッツポーズをしながら教室へ入った。 (私の席はー...) (ラッキー、1番後ろゲット!) 黒板に張り出された座席表を見て自分の名前を探すと、最後列の角に私の名前が書かれているのが見える。 少し浮かれながら席に着こうと黒板から目を離して振り向くと、後ろの空きスペースに何やら白くて大きな物が置かれているのが目に入った。 「えっ?」 思わず間抜けな声が漏れてしまったが、この状況ではおそらく8割程度の人間が同じ反応をするのではないだろうか。
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