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「無駄なあがきを…」
男は帽子を深く被り笑みを浮かべた
「山に入るより繁華街に向かった方が良くねえか!?」
「繁華街に行ったら…皆殺される気がする…しかもそこまで逃げ切れる気がしない!」
「かといって…遭難しちまうぜ!!」
「今すぐ死ぬよりマシだ!!」
景色は木一色になり、二人は深い森へと入ってゆく
「け、結構走ったぞ…!撒いたんじゃねえのか?」
「……はぁ、はぁ…!確かに…かなり進んだな…あの岩陰で休もう!!」
断崖の中に人が数人入れるスペースを見つけた二人へそこへ飛び込んだ
「ハァ…ハァ…あいつ何なんだよ…すげぇやべぇ気がしたぜ」
「魔力使い…か!?」
「だけどまぁ流石にここまでは…」
「来れないと思ったかい?」
「!!?」
「なっ!?」
男は薄笑いを浮かべ岩陰を覗いていた
「どうなってやがんだよ…一体」
「私としても君らに固執する理由は無いのだけどね…余りに頑張るものだから、つい張り切っちゃったじゃないか」
「…何が目的なんだよてめえ」
「…目的か」
「世界を滅ぼすつもりか…?あの穴もあんたの仕業か?」
男はセイの問い掛けにとぼけた表情で返した
「…何か勘違いしているようだね。君は」
「あの穴は、私が空けた訳ではない。だがあれは世界の滅びに深く関わっている」
「君らのように平和に毒された者達には知る由もないだろうがね」
「だからこそ我々が、救済するのだ」
「…救済?」
「そう。滅びゆく世界の中、新たな世界を築きそこへ移住する…強者のみの世界を作るのさ」
「弱者は間引いてね」
「間引く…って何だよ」
「分かり得ないかな?」
ビギン…!ベキベキベキベキッ!!
ゴガアンッ!!ガラガラガランッ…!
岩に亀裂が入り砕け散り、二人の姿が露わになる
「な……っ!?」
(何をしたんだ今!!)
「ーー哀しい哉。弱さは罪だよ」
ブオッ!!
「選別漏れだ。消え給え」
ジジジジ…カッ!!
「!?」
何かが、二人と男の間を遮った
「…何が選別だ…下らねえな」
「ーーならてめえも選別漏れだ。俺に、殺されんだからな」
「…誰かな、君は」
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