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なんだか近頃、世界がおかしい気がする
その感覚を抱いてるのは、どうやら俺だけらしい
親父もお袋も、ホノカもセイも、誰も気が付いていない
「どーしたの!浮かない顔して」
「…んー。何でもねえよ」
風靡く緩やかな丘陵に寝そべる俺の頭上から声が響いた
俺の幼馴染のホノカだ
「最近ずっと上の空だね。悩みでもあるの?」
「悩み。ねえ」
悩みと呼ぶには余りに曖昧で根拠がない
そんな杞憂に似た感情が、俺を強く襲っていた
「…もう!変なの…あっ!そういえば訊いた?先週アメリの家に人が降って来たんだって」
突然ホノカが切り出した
「…人が?何で?」
「飛行機からでも落ちたんじゃない?」
「…死んだのか?」
「いやぁ、それがさ…生きてるんだよね。しかも今アメリの家で居候してるんだって」
「生きてんのかよ!どんだけ強運なんだよ!」
「うん。ちょっと気になるから明日アメリの家行くの」
「わざわざ見に行くって…変わってんなお前は」
「何でよ!!」
こいつ、顔は可愛いくせに変人だから彼氏出来ねえんだろな
「じゃあさ、アキトも行く??」
アキトってのは、俺の名前だ
アケボノ=アキト
来年から社会人になる、華の18歳だ
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