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「さーて、先に腹拵えといこうか!」 昼過ぎに青森駅に着いたアキトは朝から何も食べていないため、空腹の極みだった 「えー、先に穴を見に行こうぜ!」 「駄目!無理!先飯!」 「…ったく。わがままな奴だな」 「ついてきてやったんだからそれくらいいいだろ」 「へいへい。牛丼でいいか?」 「焼肉って言わなかった?」 「言ってねえよ!」 「せっかく青森まで来たんだし、海鮮食いてえなぁ!」 「高いじゃねえかよ。あんまり金ねえぞ…交通費使いまくったし…」 「あ!あっこ!」 アキトは少し離れた場所にあるのぼりを指差して叫んだ そこには名物海鮮丼と書かれたのぼりが立っていた 「海鮮丼にしようぜ!!な!?足りなかったらちょっと出すからよ!」 「…わかったよ。せっかく来たしな。行くか」 「話わかるじゃねえか!」 そんなやりとりを交わし、二人はその店へと足を踏み入れた 「いらっしゃい!!」 店内は賑わいを見せ、せわしなく店員がうごきまわっていた 「何名様ですか!?」 「二人っす」 「…ん?」 アキトがそう言うと、カウンターに座っていた一人の男が振り返りアキトの顔をジッと見つめている (なんだこのおっさん…めっちゃ睨んでくるじゃねえか) そして男は席を立ち、アキトの方へと歩み寄って来た 「…な、なんすか?」 ビックリして思わず後退りするアキト 「…いや…悪い。人違いだ…知り合いに似ててな」 そう言った男の人相はなかなかに悪く、態度からはどことなく威圧感が放たれていた 「…そ、そうすか…」 アキトも深く追及せず、そのまま席へと歩いて行った 「…すっげえ似てるじゃねえか。驚いたぜ」 男は小さくそう呟いた 後ろを通りすぎざまにその声を聞いたアキトは男の顔をまたジッと見つめた (変なおっさんだな…関わらねえでおこう)
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