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もっとも今知りたいことを聞くと、シズクは「わかった」と頷いて答えた。
「それを答えようとすると、ちょっと長くなるけどいいかな?」
「ああ」
頷くと、シズクは運転手に出発するように会話する窓を閉めさせる。
どうやら秘密の会話って奴をするらしい。
先ほどまでのニコニコとした少女然とした笑みがスッと消える。
その変わりように思わずゾッとするが、おとなしく彼女の言葉を待つ。
「速水新一さん、私達は貴方を保護するためにやってきました」
(あの時と同じ口調)
それは、初めてメールを受け取った時の大人の女性らしい、非常に落ち着いた言葉遣いだった。
「保護?」
「はい、速水さんもご存じだとは思いますが、現在ダンジョンと呼ばれる謎の存在が各地に現れています。それは年々数を増やし続け、全世界でのその総数はすでに四百を超ようとしています」
「らしいな」
「それに対し、ダンジョンが討伐されたのは僅か十八……そのどれもがエリア型で比較的簡単なものです。……簡単とは言っても、エリア型は生成時に周辺の住民を大きく巻き込み、討伐時には部隊にも被害を出しながらの討伐ですが」
「十八? ……公式では最初のエリア型以降討伐の公表はされていないはずだ?」
「ええ、そうですね。ですので、この情報は非公式となりますので、ぜひ他言は無用でお願いします」
(いきなり非公式の情報? それに今の情報が事実だとしても、それを何故こいつが知ってる。それにシロウもそれを聞いて驚かないところを見ると、二人はこの情報を共有してたって事だよな)
視線だけを動かして二人を伺っていると、シロウだけはこちらを見てニヤリと笑みを浮かべる。
「で、それが俺とどんな関係が?」
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