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「こういっては失礼かもしれないけど、貴方は自分の価値を理解してない。この世界でダンジョンの危険性を真っ先に考慮した人間がどれだけいるか。
日々ワイドショーで、ダンジョンを警備する彼らを非難する報道をする現状で、誰が一番市民を守っているか、それを理解してる人がどれだけいるのか。
更には、未完成とは言え当初の国ですら把握できなかった安全地帯を探り当てる人が、がどれだけ重要かを」
新一は、その言葉に息を飲んだ。
確かにそのとおりである。
この世界に突如として現れたダンジョンと言う驚異。
それを肌で感じるころには、既にもう遅いのだ。
だが、周囲の人たちを見れば未だその危険性を理解してるとは思えない。
テレビで見た特殊部隊に石を投げる男性、あれはその最たるもので、中から化け物を溢れさせないためにいる彼らを罵倒するなんて、自殺志願してるのと何ら変わらない。
彼らがもし魔物の駆除をやめれば三年、下手をすればそれより短い時間でスタンピードが起きてもおかしくないのだ。
そうなれば、先ほどの男も例外なく魔物に飲まれるのだ。
「それにシンイチ君なら、何か気付いたんじゃないかと思ってね?」
シズクの言葉に暫く考え込む。
彼女の言う通り、今回のダンジョン出現で分かった事がある。
初めてダンジョンが出現した当初は、基本三百半ば~四百キロ後半の距離がラインだと予想していた。
そして今回、新宿に現れた事で三百と想定した場合、名古屋と宮城のダンジョン間には、おおよそ百キロ未満の空白があることが分かった。
つまりアレの相互干渉限界領域は『ほぼ三百キロ』だ。
そこで改めて考えたダンジョン間の距離について語ると、シズクはゆっくり頷き通信機らしきものでどこかとやり取りをする。
それが終えると、こちらを見てほほ笑んだ。
「……流石ね。先ほどの情報を同盟を組んでる各国に通達したわ。皆それを元に安全地帯の確保に動くそうよ。
分かったでしょう? そういった事に真っ先に気付いた貴方の知識や閃きが欲しいの。突発的な暴食で失いたくないの。人類の為に」
(人類の為、ときたか)
まるでどこぞのファンタジーの様ではないか。そう考えた瞬間、車が大きく揺れた。
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