プロローグ

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 その為、一時は活気に沸いた国々だが、今度は一貫して現状維持することに決まった。  定期的な間引きと、管理。  それだけを繰り返し今日もダンジョンは生き続けているのだ。 「どうする、引っ越すか? ……いや、そんなことしてもまたその先でダンジョンが現れたら? むしろある意味この位置が安全かも?」  彼がこんなことを考える事には理由があった。  それは『ダンジョン同士は隣接しない』という予測がたてられているからだ。  理由は不明だが、国内外すべてのダンジョン(分かる範囲で)を調べた所、最低でも三~四百キロは離れていないと、ダンジョンは存在しないことが分かった。  ちなみにこれに真っ先に気付いたのが新一である。  あるいは他にもいたかもしれないが、それらしい公表が無かったのでそうではないかと思っているだけではあるが。  日本国内では例が少なかった為、わかりにくかったが、それでも各国のダンジョンのうわさから位置を特定し、距離感覚を調べた所最低でも三~四百キロは離れていた。  ちなみに今回現れた新宿のダンジョンは名古屋と宮城の中間とも言える位置に存在し、どちらも直線距離では三百キロ近く離れていた。  今回の事で、予想の正しさがさらに強まった事を確信した彼は『危険には違いないが、出現時の暴食に巻き込まれるよりは幾分かマシ』と判断した。  実の所、新一はとあるネット掲示板で『ダンジョンについての考察』を皆と語り合っている。  自身の持つ知識と、そこで参加しているメンバーと各々の推測と持論を持ちいて語り合い、今後の対応などを考察している。  やったからどうだってわけではない。  彼は国に何かを助言できるよな立場でもなんでもない、バイトで日銭を稼ぎ、日々を過ごすただのフリーターなのだ。    それでも、いつか夢見た異世界を夢想し、今日もまた掲示板へログインするのであった。
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