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シンイチ:だれかいる?
慣れた手つきで掲示板に書き込むと、すぐに反応があった。
シズク:来たわね。丸一日来ないから、ダンジョンに食われたのかと思って焦ったわよ。
シズクと言うこの相手は、ダンジョンについて議論を語り合う相手の一人だ。
この掲示板のまとめ役とも言える人物で、ここで語り合った内容を個人的にまとめていると以前話していたのを新一は思い出す。
そういった立場もあってか、新一は彼女に事あるごとに『どう思う?』と話を振られる事がある。
ほかにもメンツがいるのに、すぐこちらに聞かないで欲しいと最初こそ断っていたが、周りも聞きたいとはやし立てるので持論を語っていくうちに、気が付けばこの掲示板のなかではそれなりに信頼を得るようなっていた。
シンイチ:すまん、ダチとネトゲしてたら一日経ってた。ダチからその話聞いてテレビ見てビビったわ。超近所だった。
シズク:あら、じゃあやっぱりあなたは東京付近にいるのね。
「げ、しまったな」
思わず自分の情報を欠かしてしまった事に、失敗したと舌打ちしつつ、先ほどの投稿を削除する。
シンイチ:わり、今のオフで。
シズク:わかってるわよ。でも、無事でよかったわ。
シンイチ:ありがとな、で? 今日はどんな議題だ?
シズク:そうね、まず貴方も理解してるとは思うけど、今回の新宿出現から『ダンジョン同士は、一定距離内には生成されない』という仮説が正しい可能性が濃厚になったわね。
話題を会えるために議題へと話を持っていくと、シズクはそれに乗っかってくれた。
その事にホッとしながら、新一はキーボードを叩く。
シンイチ:ああ、俺も丁度思ってたところだ。
シズク:あのさ、もしよかったらなんだけど。
シンイチ:どした?
シズク:シンイチさえ良ければなんだけど、今度会って話をしてみない?
「は?」
シンイチは文字を見て、思わず声に出してしまった。
脳裏で出会い系、美人局などの不穏な文字が流れるが、すぐにそれを追い払う。
シズク:あれ、シンイチ? 引いた?
暫く返事をしないでいたら、シズクが困惑したような文章が流れる。
急いで返信を打つ。
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