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ー・・・それから半年。
私の努力は報われ、吹日高校に晴れて合格した。
凜ちゃんも全力でサポートしてくれ、一緒に合格した。志望動機に『渕先生の赴任高校だから』と書いた時はめっちゃ怒られたっけ。
そうして入学して2か月。新生活にも慣れてきたんだけど・・・
「なんか、思ってたよりも遠いままだよね・・・」
そう、中学は3クラスしかなく、先生はもちろん学年の生徒はほぼ全員顔と名前を知っていた。しかし、高校はなんと10クラスもあり、生徒はもちろん、先生すら遠い存在なのだ。
「いいよねー凜ちゃんは。渕先生の授業があって」
「私は先生にも経済にも興味ないから全然話聞いてないけどね」
渕先生は一年生の経済を持っている。しかし、5~8組が担当で、4組の私は授業がないのだ。
「いいもん、まだ後2年もあるし。それに今は同じ学校にいるってだけで幸せだから」
「へえ~去年のあんたはあんなに魂が飛ぶほどぞっこんだったのにもう飽きちゃったんだ」
「そんなんじゃないよ」
確かに会いたい。職員室に行けば会える。凜ちゃんのクラスに休み時間行けば会えるかもしれない。でも・・・
「忘れられてたら、怖いもん」
今までは『先生といたい』それを糧に頑張ってきた。でもいざ入学していると、あんなに大胆なことをしたのに忘れられてたらどうしよう、とか頑張れって言葉もただの社交辞令だったのでは、などの不安が過ぎり、むしろ避けてしまってる。
「ふ~ん。難しいね。恋する乙女は。でもあんまうかうかしてたら取られちゃうかもよ?」
「え?どゆこと」
「渕先生若いし普通にかっこいいじゃん。だからうちのクラスにも好きな子けっこういるのよ。それも休み時間に話しかけに行ったり、放課後に経済の質問をしに行くような積極的な子がね」
凜ちゃんはあれ、知らなかったの?というかのような顔をしている。
「~それを先に言ってよ!!」
ライバルがいるとなれば、話は別だ。
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