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「こらっ、ちゃんと前を見て歩けよー」
その影の正体はずっと憧れていて、いつも遠くから見ていた先生だった。
(夢見たい…先生がこんな目の前にいるだなんて!)
思っていたよりも高い身長。教科書を持つ手は同級生の男子よりもゴツゴツとしていて、男性なのだと改めて意識させられる。
「って 、君はこのクラスじゃないだろ。早く自分の教室に戻りなさい」
先生モードの口調にハッと現実へ引き戻される。
(そうだよね…私のことなんか覚えてるわけないよね)
先生に呼ばれた「君」という二人称単数。その言葉がなんだか胸にズシッとのしかかった。
「すみません…すぐ戻り-…」
「いいじゃんふっち〜まだチャイム5分前だよ?」
「ほんとふっちー先生まっじめ〜」
謝って先生の横を通過しようとした刹那、後ろから女子生徒の声が聞こえた。
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