2/2
前へ
/17ページ
次へ
 自分が覚醒しているのか。それとも夢うつつなのかよくわからない。しかし風景をみている。緑だ。緑が見える。堤防の上にのびたサイクリングロードだ。私はその道を公園に向かって歩いている。孤独だ。いつも孤独だ。孤独と戦っていた。小学三年生の転校した後のこと。空気が異質な場所だった。  それから二十年その場所から離れなかった。いや依存。離れられなかった。  過去を振り返るような夢を見たと気がついたのは、天井を見たから。平和に朝を迎えた。 「終わったことを追うのは意味がない。」 不意に口にでた。そう、すべて過去など変えられない。そこに足を取られて動けなくなる愚かな行動をとるべきではないのだ。 夢が挫折につながって、自分を貶めたとしても、逆に寝ているときに見る夢で自分を高めることにつなげることはできないだろうかと考えた。  夢。夢とは不思議だ。深層心理か脳内風景か。私は自分の夢を採取したくなった。それを掌編小説にしてみようというのだ。  と、ここまで書いてみてたものの実際はどうかというとなかなか夢の採取は難しいものだ。かつて坂本龍一の見た夢を村上龍が掌編小説にした「モニカ」という作品があったが、あのあとがきにも坂本龍一は夢の採取の難しさを書いていた気がする。  なにかしら夢見る。目が覚めていざメモを取る段階になって反覚醒の体が動かない。そんなこんなしてるうちに夢を忘れてしまう。でも面白い夢があるんですが。    困難はあるけどもこれから夢の採取をはじめよ。夢の調理を行おう。  夢の都へ足を踏み入れていく。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加