海岸モール 1 フードコートで肩寄せながら

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私の高校では原則バイトは禁止やった。 今、バイトしてない子は珍しい様子。 自分の定期券・スマホ代他小遣いは 自身で稼いでる。挙げ句は授業料も 塾代も自前、バイト先ではリーダー格で オバチャンパートを率いてる子もいる。 たかが20年ほどしか変わらんこの子らが イッチョマエに稼いで学校へ行く。 昔の夜間学生の様。 (私が親に贅沢させてもろてたんやなあ) それは認める。 でも、東京あたりの友達は自分の子供を 自身の高校時代と同じように 勉強に専念させてやれたりもしてる。 (格差社会・・・なるほどなあ) 見えて初めて解るのが世の流れ・・・ この廃れた町で仕事を探すだけでも 大変なことなのだ。ましや子育てして 大学までやるー至難の業。 私の家はバブル崩壊以降商売が窮して、 父親が1年ほどグレてたもんで、 自分にかかる経済危機を恨んだものだが、 今のこの子らは違う。 生まれた時から節約を押し付けられて、 15、6歳で労働と勤勉を要求されてる。 「私がパートせな、牛乳も買われへん!」 そういうてケンカしてる若い夫婦の声に フードコートがシーン・・・。 「ああはなりたない!親の二の舞は嫌!」 目の前の女子高生がいう。 「それには勉強やな、解らんとこあるか?」 一緒に赤本と取り組む、それくらい・・・ それくらいなんや、私に出来るのは・・・。 「あ、ホタル流れた」 閉店の“蛍の光“が解散合図。 「自転車、気をつけてね」 「は~い!」 元気に帰っていく。 (本屋のバックヤードで楽しくしてた  カップルをネタに1本書くか・・・) 構想しながら父親の好きな饅頭と 次郎丸の好物の牛スジを買って車へ。 慌てて皆がエンジンをかけてた。 (一体ここで何が、ホンマに欲しいもの、  手に入るんやろうか・・・?) つまらん哲学しながら帰る・・・。 f2eae122-3d68-4db4-8646-837fe67016b7
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