決断

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「もうお父さんってば。」 母は父を見てクスクス笑う。そして彼の方を見てニコっと微笑んだ。 「2人で決めたのね。なら私は反対しないわ。慎吾君、莉奈と赤ちゃんの事よろしくお願いします。」 座ったまま深々と頭を下げる母。そんな母を見て私は涙が溢れてきた。 「大学は何か目的があって入ったの?」 母が彼に話しかける。 「教師になりたくて大学に入りました。」 「そう、だったら大学はきちんと卒業しなさい。慎吾君なら素敵な教師になれると思うわ。」 「え、でも…。」 「出来れば出産するまでは莉奈にこの家にいて貰いたいの。これから料理に家事に教える事はたくさんあるし、何より莉奈の身体も心配だしね。ダメかしら?」 「…でしたら、俺もこの家に住ませて下さい。バイトして生活費は払います。俺も…莉奈が心配だし、何より一緒にいたいんです。」 「私は嬉しいけど…。」 みんなの視線が父に集まる。 「す、好きにしろ。でも俺はまだ結婚を認めた訳じゃないからな。」 父はそれだけ言うと、立ち上がり1人ソファーへと移動した。新聞を広げて読み始めたが、手に持つ新聞は逆さまだった。
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