22人が本棚に入れています
本棚に追加
「もうお父さんってば。」
母は父を見てクスクス笑う。そして彼の方を見てニコっと微笑んだ。
「2人で決めたのね。なら私は反対しないわ。慎吾君、莉奈と赤ちゃんの事よろしくお願いします。」
座ったまま深々と頭を下げる母。そんな母を見て私は涙が溢れてきた。
「大学は何か目的があって入ったの?」
母が彼に話しかける。
「教師になりたくて大学に入りました。」
「そう、だったら大学はきちんと卒業しなさい。慎吾君なら素敵な教師になれると思うわ。」
「え、でも…。」
「出来れば出産するまでは莉奈にこの家にいて貰いたいの。これから料理に家事に教える事はたくさんあるし、何より莉奈の身体も心配だしね。ダメかしら?」
「…でしたら、俺もこの家に住ませて下さい。バイトして生活費は払います。俺も…莉奈が心配だし、何より一緒にいたいんです。」
「私は嬉しいけど…。」
みんなの視線が父に集まる。
「す、好きにしろ。でも俺はまだ結婚を認めた訳じゃないからな。」
父はそれだけ言うと、立ち上がり1人ソファーへと移動した。新聞を広げて読み始めたが、手に持つ新聞は逆さまだった。
最初のコメントを投稿しよう!