決断

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夕飯の時間になり、私は部屋を出て食事が準備されているリビングへ行く。正直胃がムカムカして食欲はないが、食べないわけにはいかない。 並べられた食事の中にほうれん草のおひたしがある。貧血に良い食べ物…さっき貧血の話をしたからだ。やっぱり母は優しい。 しかしこの日の夕飯で私の妊娠(ひみつ)がバレてしまうとは、この時はまだ微塵にも思わなかった。 食欲のないまま食事をしていると、突然激しい吐き気に襲われた。私は我慢出来ず慌てて立ち上がりトイレへと向かう。 まさか…悪阻(つわり)? 吐き気がおさまりトイレから出てリビングへと戻ると、心配そうにオロオロしている父と冷静な表情で私を見る母がいた。 「莉奈…あなた妊娠しているわね?」 食事を中断し、母は真剣な表情で静かに私に聞いてきた。でも私は何も言わず、無言を貫く。 「に、に、妊娠って、莉奈はまだ高2だぞ!?」 父は椅子から立ち上がり、悪い冗談であってくれと言わんばかりの表情で私を見てきた。そんな父から私は視線を()らす。 「莉奈、どうなの?」 「……。」 母から再度聞かれて頭の中が真っ白になり、私は無言のまま下を向いた。結局否定しなかった事で、両親に妊娠がバレてしまった。
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