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糸を揃えきゅっと束ね、寝ているオルテに声をかけた。
「オルテ…てつだって?」
呼び掛けに薄く目をあけ、眩しさに右手を額に掲げる。
「ありがと。これつまんで、はなさなぃでね?」
「あぁ。はなさない」
そう返事をしたオルテの右手に束ねた糸を摘まませたのだが、作業に取り掛かろうとしたチサキを抱き込むように左手が…お尻をむにって…。
バチン
「その、はなさなぃで、じゃなぃから!」
「あぁ、寝ぼけてた…」
「…まだねててイイからね?」
日が傾き…大樹の根元に降り注いでいた木漏れ日が陰り始めた。
…ふふ~っ。なんとか形になった。
途中、オルテに持ち替えてもらって、満足のいくミサンガが2本。
一つをオルテの右手に巻き付け、残りの一つは昨日オルテに貰ったブレスレットに重ね付けしてみた。
…お揃い…ペア…
むくりと起き上がりしげしげと手首を見ている。
「おかえし、…これもよかったらつかって?」
ショールとネックレスも渡してみる。
「…貰って良いのか?」
「もちろん!」
膝立ちになりネックレスとショールを首に巻いてやる。
「大事にする。有り難く使わせて貰おう」
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