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オルテは平然とその上から執拗に舐めてきた。
「ひゥ、…なぁン、でェ?」
頭上のオルテを見やると口に血がうっすらついている。
呆然とその妖艶さに見とれていたら口を開かせられ、犬歯にオルテの指先が食い込んだ。
…うぐぅぅ!?
濃厚で芳醇な血の味が口の中に広がる。
「唯一無二、魂へ刻みし、我と其方」
二人のやり取りに気づいた年配のオーナーが祝いの言葉を述べてそっとナフキンをオルテに渡してきた。
…何がおめでとうなの?
力が抜けきった首にナフキンが当てられ、されるがままのチサキにまたキスを落とす。
「お部屋はいかがしましょうか?」
「…いや、そうは言ってられない。」
慈しむ眼差しで髪を撫でてくるオルテと目が合うと体の奥が火照ったようにじわじわと何かがにじみ出してきた感覚がしてきた。
…あつい…
ガランッ…ダンッ
店のドアが大きな音をたて開け放たれ、オルテにしなだれかかったままだった体を起こし振り返る。
入り口には黒く長い衣を身に付けた細身の麗人が立ち竦んでいた。
眉間にシワを寄せ店内をせわしなく見やったかと思うと目を見開き此方を凝視している。
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