第2章

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「今日はなんにしようかなあ。タルト・ショコラにエクレア、チョコレート・モンブラン。パフェも捨てがたいし……」 「こないだ食べたピスタチオのやつも美味しかったよ? あと、ガトーショコラとかも」 「やめて、言わないでっ! 余計迷っちゃう!」  楽しげなやりとりに、鳴海は目もとをなごませた。 「いつもありがとうございます」  穏やかに声をかけると、ふたりは気恥ずかしげな様子を見せつつ、親しみの籠もった笑顔を鳴海に向けた。 「あたしたちこそ店長さんには感謝してるんですよ? 職場の近くにこんな素敵なお店ができるんだもん。おかげで仕事帰りの楽しみが増えちゃった」 「お財布事情とカロリーのことさえ気にしなくていいなら、毎日でも通いたいぐらい。メニューもオープン当初に比べてだいぶ増えたし、ますます通い詰めたくなっちゃうよね」 「まだまだ試行錯誤の連続ですけどね。マンネリになってお客様に飽きられないよう、精進します」  鳴海の言葉に、女性客ふたりは華やかな笑い声をあげた。
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