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「今度会いたい。」
ピロン♪
メッセージの送信。
布団から頭と手を出して、彼のメッセージを待つ時間。
暖房はかけていても、布団から出ている顔の鼻の先と、携帯でメッセージを送る指はやけに冷たい。
メッセージを送る。
返信は無い。
既読にならないメッセージをじっと見つめる。
私は部屋の布団の中。
彼はどこにいて、何をしているかさえ分からない。
私はもう一度自分のメッセージを見る。
カチ、カチ、カチ
掛け時計の乾いた音が、やけに部屋に響く。
カチ、カチ、カチ
メッセージに「既読」がついた。
私は部屋の布団の中。
彼はどこにいて、何をしているかさえ分からない。
それでも確かに今、この機械を通して彼と私は繋がった。
彼は今何をしているのだろう。
考えると胸がきゅんとなる。
「また映画でも見に行こう。」
彼からのメッセージ。
冷たい指先に、携帯電話を通してほんの少しだけ
彼のぬくもりを感じた。
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