私の左手と、君の心の中。

2/12
前へ
/12ページ
次へ
 親友はどうやら、私のことが嫌いらしい。  一週間くらい前のある夜、頭が急にキリキリ痛んだことがあった。ポニーテールがきつすぎたのかと髪を解いて一晩寝たらすっかり良くなったので深く考えずにいたのだが、どうやらそれがきっかけだったようだ。その時から、不思議な力が身についた。  学校で後ろの席にプリントを送っていたときだった。突然頭の中に言葉が流れ込んできた。「11月にポニーテールなんて、綾音寒そうだなあ」声は聞こえない。言葉だけが浮かんでいた。  帰りにコンビニに寄ってお釣りを受け取ったとき、同じことが起きた。「この制服、なに高校だったっけ」誰かが私に向けた気持ちなのだろう。目の前にいるのは澄ました顔の店員さんである。私は確信した。  左手で誰かの手に触れると、その人の気持ちがわかる。  その人が自分をどう思っているのかが、わかるようになってしまった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加