私の左手と、君の心の中。

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 気づいたことが、2つある。  1つには、瑠華が距離を置くようになった。露骨に避けられているなどということは全然なくて、例えば体育のペアとか、例えば移動教室とか、気のせいかと思うくらい些細で、でも数週間前と比べるとどうしても違ってしまうくらいの変化だった。話しかけるたび瑠華はいつも通り笑いかけてくれて、もしかしたら避けているのは私の方かもしれないと思うほど、自然だった。  もう1つには、優が話しかけてくるようになった。兄として、瑠華との帳尻を合わせるみたいに。 「綾音、体育どこ集合」「綾音、おつかれ」「綾音、」「綾音、」…
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