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「もぅっ!てか、話をそらさない!会いに来るって言ったり行けないって言ったり、どういうこと?」 「…それなんだけど、俺は、紗彩じゃないとダメだって気持ちが強いから…でも、紗彩は違って…いや、北條さんから、紗彩の気持ちは聞いてるんだけど、確かめるのが怖いというか…なんていうのかな…直接会ってしまうと、やっぱりどうあっても私の所へ帰ってくるんだと思われるのも…意味わかんねよな?」 「…何?意味わかんない」 ただ、今日会えない理由が聞きたかっただけ。 意味の分からない村野君の考え方まで言われても混乱するだけだ。 「会えないってなんで?」 そう。こう聞けばよかった。 自分でも情緒不安定なのが分かるくらいグラグラなのに、いつもと変わらない村野君に苛ついたからかもしれない。 だから、わざと苛立ちをぶつけたのかもしれない。 そのイライラが通じてしまったのか、思いもしないことを聞いてきた。 「あのさ…俺が浮気したらどうする?」 「う、浮気?」 「そ、浮気。で、その浮気が本気になって、紗彩より、そっちの女の方が良くなって、さよなら紗彩ってなって…」
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