39人が本棚に入れています
本棚に追加
「は?俺、そういう風に言った?」
この言い方。いつでも冷静で、もっともらしいことを言う。
でも、今回は、答えを言っていないのよ。
「会えない理由って、私を信じられなくなったからでしょ?」
「紗彩は、そう思ってんのか…」
「え?」
「俺、紗彩の事が今でも好きだ。でも、その好きな人が、自分は浮気をしても大丈夫。本命彼氏は逃げない…そうやって思われるのは嫌なんだ」
「そ、そんな…私、そんなんじゃ…」
そんな女じゃないと言いたかった。
でも、他の男によろめいて、村野君を捨てた女だ。
村野君に意見できる立場じゃない。
それなのに…
私は、何も言えなくなった。
「紗彩?」
村野君は、私の途切れた言葉の続きを待っているみたいだった。
続きなんて話せるわけないのに。
最初のコメントを投稿しよう!