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もちろん難色を示されることは覚悟していたが、現実は想像以上に厳しかった。
それがいかに無謀な道で、あまりにも無知な選択だと淡々と先生が話した後に、母が言った。
もっと現実を見なさい、と――
まったく現実の世界に価値を見出せなかった自分にとって、それはまさにこれからの未来を諦める事と同意語だった。
反論を許さない、と言ったピリッとした空気の中で、込み上げてくる感情を吐露することもできずに三者面談は終わった。
むしゃくしゃとした気持ちが一向に消えなかった僕は、その日の塾で同じ話をその女子大生の先生にも言ってしまった。
自分がどれだけ本気で小説家を目指していて、周りはどうして認めてくれないのかと。
どんな風に話したのかはもうほとんど忘れてしまったけれど、たぶん生意気にもそんなことを言っていたような気がする。
珍しく感情的になって言葉を巻くしたてる自分に、先生はずっと黙ったままだった。
途中で反論することも、自分の意見を言うこともなく、時々うなづきながら聞いてくれていた。
一通り全て話し終わった後、僕は正直やってしまったと後悔した。
こんな話しをしたところで、誰も受け入れてはくれないとわかっていたからだ。
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