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画面の向こうに映っていたのは、自分と同い年の女の子。
小説を書く、という世界が、何者でもない僕を唯一無二の存在にしてくれると知った瞬間だった。
この時、目指すべき道は決まった。
自己採点を終えたばかりのセンター試験の結果は五分五分。どうせ賭けるなら、僕は自分の信じた道を進もうと思った。
居ても立っても居られなくなったその日の夜、僕は家を飛び出すと一直線に塾へと向かった。
生まれて初めて選ぶ自分の決断を、どうしても先生に聞いてほしい。
そんな思いが、冷えていく身体に熱を燈らせてくれた。
交差点で信号機を待っていると、車のヘッドライトの光に、白く舞う初雪の姿が映った。
かじかむ手と逸る気持ちをポケットに突っ込んで、信号機が青に変わると、僕は雪の色に染まっていく街を無我夢中で走った。
塾に着いた頃にはもう授業が終わっていて、ちょうど先生が帰る準備をしている時だった。
「どうしても話しがあります」と、鼻を赤くして頭から粉雪を被っている自分の姿に、先生は驚いたように目をぱちくりとさせていた。
「ちょっと待ってて」と言った先生は、わざわざ教室の鍵を開けて中に入れてくれた。
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