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看護師に言われた診察室に行くと、優しそうな笑顔を浮かべる、女性の先生が待っていた。
「隼 次郎さんですね。どうぞ」
先生に促されて、俺は先生の前にある椅子に腰掛けた。
「えーと、隼さんは今回が初めての妊娠ですね?」
「は、はぁ」
初めても何も、俺、男なんですけど…。
だからさ、世の中には、そんなに何度も妊娠してる男もいるのか???
「お仕事が辛いとか、人間関係で悩んでいるとか、何か抱えている悩みとかはありますか?」
「え?あ、ああ。そうだなぁ、人付き合いが上手く出来ないので、会社の人間となんか距離があるんですよねぇ。もういい歳なのに…」
あれ?俺、こんな話、誰にも打ち明けたことないんだけどな。なんでこの先生に話してしまったんだろう…。
「そうですか、分かりました。隼さんには明日から、こちらのメニューをこなして貰います。出来るだけ無理なく毎日通院してください」
俺は先生から、4枚の用紙を渡された。見れば、この先約4ヶ月間の治療(ん?妊娠なのに治療?)メニューだった。
「隼さん、出産まで一緒に頑張りましょう!」
「は、はぁ…」
俺は本当に、4ヶ月後には出産してしまうのだろうか…。
そして、俺の腹には本当に子供が??それともなにか、未知の生物が??
俺、どうなっちゃうんだよー!
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