猫とネズミ

2/3
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
冬 冷たい雨がしとしとと地面を打つ 優しい雨は むしろ凶悪だ 私たち猫の毛は水を弾かない この寒い冬に 雨に打たれるのは 野良猫にとって命とりにもなるーー 全身真っ黒に生まれついた私は 野良猫 親がいたのかももう覚えてない 人間の家の軒先で雨宿りする ーー雨はもう3日も降り続いている お腹減ったなあーー その時 ピン!と髭のセンサーが反応する 耳がわずかな音を拾おうと動いた ーー獲物… おいしそうなネズミの匂いだ おろかなネズミは私に気づかないのか チュウと鳴きながら近づく
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!