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控えめだが形のいい胸元を飾る真紅のリボンは、彼女がこの公立高校の二年生であることを示している。
この女子生徒は、どこか反抗的な眼差しで白衣の教師をじっと見つめ、おもむろに質問した。
「自己責任だから、ってことですか?」
反抗心溢れる口調と眼差しを正面から受け止めて、教師が軽く目を閉じる。
「結果はどうあれ、君たち二年生だけでよく頑張ったとは思います。ですが、ルールはルールです。君たち“プログラミング研究課”の勝手な事情で、今年度の活動費をほとんど使ってしまったのだから。認めてしまったら、他の部との公平性を保てません」
教師の正論を聞き、少女がうなだれた。
そのまま何秒か費やした少女だったが、すぐにその整った顔を教師に向けた。
「自己責任なら、埋め合わせのやり方も、あたしたちで自由に決めて構わない、ということですよね?」
挑戦的な口振りの少女に逆手を取られた教師だったが、何度も浅くうなずいた。
「そうですね。顧問として、君たちの自主性に任せます」
言っておきながら、教師は慌てて付け加えた。
「あ、でも自腹を切るのは、後で何かと問題になるのでやめて下さいね。君の家なら、どうとでもなる額かも知れませんが……」
そこで教師は、少女を見上げた。
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