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「それにいつも言ってるけど、あたしは“課長”よ。今年の総合科学部全体の“部長”は、天文課の課長なんだから」
すると、顔を起こした両角が、小馬鹿にした口調で言い放った。
「総合科学部なんか、プロ研以外はみんなユーレイじゃねえか。天文課なんか屋上でだべってるだけだろ。科学課はあの“水中メガネ”のせいで、今は化石課だしな。あとはたまに生物課が魚にエサやりしてるくらいで、マトモに部長って言える働きしてるのは、三輪ちゃんくらいだ。だから“部長”でいいんだ」
「ありがと」
苦笑交じりに返しつつ、三輪は片手を腰に当て、両角に釘を刺した。
「でも、いつも言ってるけど、うちを『プロ研』って呼ぶのはやめてね。プロレス研究会みたいで格好悪いから」
そこで三輪は、周りを見回しながら両角に聞いた。
「それはそうと、高館くんは?」
「図書室だろ。でなけりゃ、本屋か古本屋だ」
「両角くん独りなんて、珍しいね。大体いつも二人でつるんでるのに」
これを聞き、両角が白い歯を見せて苦笑した。
「おいおい、オレとあいつは別のクラスで、コンビでも何でもないんだけどな。部長も知ってるだろ」
「ああ、それもそうね」
わざと素っ気ない口調でそう答え、無表情を作った三輪は、小首を僅かに傾げた。
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