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 三輪は、心の底からの賛辞を送る。  賞賛の眼差しを浴びた両角は、強情な眉根を険しく寄せた。  しかしその頬はほんのり赤く、目許は笑っている。 「どっちも好きでやってんだ。大したこたあない」 「でも、そんなに空手が好きなら、うちじゃなくて空手部に入ればよかったのに。両角くんなら、すぐにレギュラーだと思うけど」  すると両角は、小馬鹿にした響きで鼻を鳴らした。 「部活じゃつまらん。やっぱりオレは、舐めプじゃなくて、もっと際どい勝負をしたいんだ。もっともっと鍛錬しないとな」  熱意と力がみなぎる口調で言い、両角は窓の外に視線を移した。三輪も彼の望む先を追うと、窓ガラスを通して放課後のグラウンドが見える。 「そういえば、イチも相当走り込んでるらしいな」  彼は賛意が一杯に篭った口調で独り言を綴る。 「あいつ、大会はまだまだだってのに、すげえヤツだ。オレも負けてられねえ」  そこで両角の表情が硬くこわばった。 「その割には、タイムが伸びなくて悩んでるらしいけどな、この二ヶ月くらい。陸上部の連中も心配してたけど、何か悩みでもあるのか……」  向き直った彼と目線がかち合い、三輪はついと顔を背けた。     
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