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 彼らの間に充溢する、長い沈黙。  南向きの窓から入る晩秋の斜陽と、放課後の校庭から届く生徒達の声が、その重苦しい沈黙を埋めている。  すべてが白く、その白が茜に塗り替えられてゆく高校の化学室。  そこに、彼ら四人はいた。  薬品の臭いが混淆する重い空気に包まれて、彼らは実験用の大きなテーブルを囲む。  学生服姿の少年が三人、それにセーラー服姿の少女が一人。  不満、皮肉、怒り、それに諦めと、四人の表情はそれぞれ微妙に異なる。    その長く気まずい沈黙は、その少女の高く明るい声で破られた。 「でもみんなよくやったよ」  だが、そのわざとらしい口調は、どこか空虚に響く。   それでも彼女は、好意的で労わりに満ちた眼差しを、三人の男子たちに注ぐ。 「コンクールに落選はしたけど、ウチの実力がトップクラスなのは、認められたんだから」    一人一人に眼鏡越しの視線を送るたびに、肩口で綺麗に揃った黒髪が、艶やかに揺れる。    そんな少女の慰めを聞いて、三人の男子生徒が、一斉に彼女を注視した。  華やかさはないが、整った目鼻立ちの、凛とした少女。意匠を凝らせたフレームの眼鏡が、少女の理知的な印象を際立たせている。     
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