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昼は客の話相手をして夜はあの男を殺すことを考える。そんな日常が続いてたある日、主人が殺された。主人の情夫だったらしい男に刺されて殺されたようだ。その情夫も自殺したらしい。ざまあみろ。地獄に落ちろ。延々と苦しめばいい。そう思った。
これからどうしようと思ったとき、例の女がやってきた。女は主人が死んだのを聞いて来たらしかった。
「本当はちゃんとお金を出して買うつもりだったんだけど、主人が死んだんだってね。うちにおいでよ。お前みたいな子が欲しかったんだ。なに、嫌だったら逃げ出すなりなんなりすればいいよ。芸も学もあるお前ならどこでだってやっていけるだろうしね。とりあえず私のところに来てみる気はないかな」
そんな誘いだった。
相変わらず女のことは気に入らなかったが、他に行く宛てもない。
来いというその誘いにとりあえず乗ることにした。
「そうだ、もう一人、連れて行ってもいいかな」
そう決めるや否や脳内にふと、隣の女の子のことが過ぎった。彼女も頼る相手なんていないだろう。同じところにいた仲だ。少しくらい親切にしてやってもいいと彼女の元へと走る。
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