インタビュー 1970年某日、マーリア・オウティネンの自宅にて

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マーリア・オウティネン    降誕暦1933年生まれ。シュスマ出身。元陸軍少尉、魔導飛行士、戦闘襲撃騎搭乗員。女学校卒業後、首都の薬剤店で見習いとして勤務していたが、女性飛行士募集の案内を見て空の世界を志す。1950年に勃発した祖国防衛戦争では100回余りの出撃を重ね、単独撃墜41、共同撃墜28の戦果を挙げる。戦功抜群により、共和国で初めてスオメン白薔薇勲章を女性として受勲。 ……あの戦争から20年余りが経ちました。マーリア・オウティネン、貴女の伝説的な戦いぶりは当時から広く知られています。ですが、今回私がお聞きしたいことは、貴女の参加された戦闘についてではありません。伝説と謳われる貴女が、どのような少女時代を送り、そしてどのようにして飛行士になったか、そのことについてお聞きしたいのです。どんな些細なことでも構いません、何か印象的だった出来事、思い出深い事件、そのようなものがございましたら、どうかお教えください。 「手紙を受け取った時は驚きました。私が敵をどれだけ撃ち落としたか、空中戦はどうだったかということを聞きたがる人ばかりなのに、あなたは私がどんな女の子だったのかを知りたいと言うのですから。上手く話せるか分かりませんが、どうか辛抱強く聞いてください。私たちが特別でもなんでもないただの女の子であったことを、そして「あの子」たちがどのようにして産まれたのかを人々に知ってもらうのに、私の拙い語りが少しでも役立つだろうと信じるからです」
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