インタビュー 1970年某日、マーリア・オウティネンの自宅にて

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……1924年から1928年の大戦で、人類は航空戦力を史上初めて導入しました。その際各国で、飛行機械を用いるか、それとも魔法生物を用いるか、どちらがより有効であるかについて議論があり、大戦終結までにその結論は出ませんでしたが、結局貴女が1950年の戦場で証明したように、魔竜が大空の覇者たる能力を示しました。現在は超大型魔竜が戦略兵器を抱いて大空を遊弋しているわけですが……あなたと魔竜との出会いについて、どうか教えてください。 「三か月の基礎訓練期間の終わりごろでした。その頃の私たちの関心事は、もっぱら「飛行機に乗るのか、それとも魔竜に乗るのか」ということでした」 「公にされている記録では、私たちの部隊は最初からランスカ-ブリタンニア原生種のハイブリッド魔竜を使ったと書いてありますね。実は、これには秘話があるんです」 「いいですか、これからお話しすることは、本当に奇妙で、あり得ないことと思われるかもしれませんが、事実です。よく聞いてください」 「今日から飛行訓練が開始される、意気込んで飛行場のエプロンに集合した私たちでしたが、壇上に立つ部隊長からの言葉は意外なものでした」 「部隊長は、「今日から飛行訓練の開始と言っていたな。予定が変わった。諸君らにはこれから特別な任務についてもらう」なんて言うんです。兵営に戻り、飛行服を脱いで平服になり、荷物をまとめて集合しろ、と命令されました」 「ライラが抗議の声を上げました。「私たちは飛行士を志願しました! 飛行機も魔竜も与えられずに戻って荷物をまとめろとは、私たちはお役御免なのですか!」と叫んだんです。そんな反抗的な態度を取ったら、普段だったら徹底的にしごかれたものですが、この時ばかりは教官たちも同情的だったのか、お咎めなしでした」 「部隊長も怒りませんでした。「お役御免ではない。非常に重要な任務だ。諸君らが飛行士になるのと同じくらい、共和国に貢献することだと思え」と諭すように言うんです」
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