インタビュー 1970年某日、マーリア・オウティネンの自宅にて

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……それからどうしたのですか? 「私たちは一体何がどうなっているのか、見当もつかないままにバスに乗り、二時間ほど揺られて、人里離れた、ある建物に着きました。どうやらそこは以前病院だったようで、私たちはロビーに整列しました」 「そしたら、白衣を着た人たちが何人もやってきました。顔つきからして、軍人ではなさそうです。年配の女性が私たちに、「昼食の後、貴女たちには簡単な検査を受けてもらいます」と言いました。久しぶりに「諸君」ではなく「貴女たち」なんて呼ばれたので、ちょっとドキッとしたのを覚えています」 「この検査というものが、ねえ……本当は話したくないんですけど……」 ……気が進まないのでしたら、お話しして下さらなくても良いのですが…… 「いえ、やっぱり話しましょう。紛れもない事実ですし、私が話さなければ絶対に明らかにならないことですから」 「昼食の後、私たちは別々に個室へ呼ばれました。個室には女医がいました。簡単な問診を受けて、既往歴について質問されました。それで、ああ、単なる健康診断かしら?なんて思っていると……」 「女医が言うんです。「マーリア、貴女は15歳ね? こんなことを訊くのは本当に失礼なことだと思うし、私も嫌なんだけど……あなたは男の子と付き合ったことがある?」 私は、「いいえ、ないです」と答えました。そしたら続けて、「じゃあ、性行為、つまりセックスね、したことある?」と言うんです。顔が真っ赤になるのが自分でも分かりました。私は、「断じてありません!」と大声で叫びましたよ。当時の世間は今ほど自由な風潮ではなかったので、未婚でかつ若い女性が性行為をするなんてとても恥ずかしいことだとされていました」 「女医は気の毒そうな顔をしました。「ごめんなさい、貴女の言うことは本当だと思うけど、一応調べさせてもらうわね」と言って、彼女は私の右腕にパッチを貼りました。五分ほどしてパッチは青く変色しましたが、女医は「これで確認できました、ありがとう」って」 「夕食の席で、みんな口々に「とんでもない質問だった」と憤慨しましたよ。でも、こんな質問は序の口だったんです」
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