インタビュー 1970年某日、マーリア・オウティネンの自宅にて

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「次の日、私たちはまた別々の個室にそれぞれ案内されました。かなり広いその個室は、不思議なことに窓がすべて鉄板で覆われていて、外からの光が一切入らないようになっていました。ドアも二重扉になっていて、調度品はベッドと、内線用の電話が乗った机と、椅子だけでした。暖房がよく効いていました」 「一緒に部屋に入った三人の女性の係員たちは、私に言いました。「服を全部脱いで、裸になってベッドに横になってください。これは命令です」と。命令! たぶん軍隊史上最も変な命令だったのではないでしょうか。兵士ですから命令には絶対服従です。私は下着まで脱いで全裸になると、ベッドに横になってシーツを被りました」 「次に私は、ある物を渡されました。金属製の箱に厳重にしまわれていたそれは、アルミ合金のような材質で表面を覆われていて、ちょうどラグビーボールを一回り大きくしたような形をしていて、ずっしりと重いものでした。それに、氷のように冷たいんです。渡された時、私はその冷たさに悲鳴を上げました」 「そして、こう言われました。「貴女にはその「ボール」を、これから毎日、食事と用便と入浴の時間以外、ずっと素肌で温めてもらいます。いいですか、絶対に離してはなりませんよ! 素肌で、貴女の「ぬくもり」で温めてもらいます。一日に三回、私たちは様子を見に来ますが、もし温めていないことが判ったら、命令不服従と任務放棄で軍法会議ですからね!」 そんなことを言われたその時の私の気持ちが分かりますか?」 「どれくらいの期間かと聞きましたが、だいたい一カ月との答えでした。一カ月、この冷たいものを抱いていないといけない! 気が遠くなりましたよ」 「そんなわけで、私たちの奇妙な任務が始まったのです」
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